何者かになりたかった哀れな自分を受け入れられるか~腑抜けども、悲しみの愛を見せろ【再読】

もう10年以上前の感想なんですよね。
そしてラストシーンのところ最初の方に伏線もあったのにちゃんと読んでないしw

今回DVDを借りて映画のヤツも観たので改めて。
異類婚姻譚とは全く違ったお話なんで同じ作者と思えなくてすごい。
ただ、御徒町の奥という自分の中の見方が変わってしまったのも含めて、今感じたことを書いていこうかな。

もともとは戯曲からはじまり小説になり映画化したという経緯の作品だそうです。
だから戯曲ってなに❓❗

10年前の感想

いやぁ~~~。これはヒドイ。
内容がちょっとエグイっていうか。
登場人物がとにかくヒドイんです。
誰一人まともじゃないっていうか。
腑抜けってのとはちょっと違う感じ。マトモじゃない。

文庫本の表紙を見てタイトルとか直感的にイヤな感じがしたらしいのになぜか読んでるやつ。
サトエリ主演の映画の紹介でおもしろそうだったから頑張って読んでたらしい。

ただ気になったのは、ラストで妹が出て行くときナイフで刺されたと思うんですがアレはなんだったんでしょうか?!
実は刺されてなかったとか??

ちゃんと読んだらちゃんと書いてあったw
きっとホントに読むの辛かったんだろうな。当時。

今なら面白いと思えるから不思議。

人っていうのは同じものを見たり聞いたりしてもその時その時で感じ方が違うんだな。

映画の感想(ネタバレ含む)

なんかコメディとも思えるようなホラーとも思えるような。
演者がうまくて、それぞれがちゃんと役割を演じられてるのが後に原作を読み直してみたんだけど妙にしっくりきて妹役の子(佐津川愛美)は知らなかったんだけどみんなよかったなと。

まずサトエリが手とか足とかすっごい細いの。
今どうしてるのかなと調べてみたらセシルのもくろみに出てたのか❗

当時25くらいだったと思うんだけどちゃんと高校生役もやってたw
もう最近だと窪田君とか菅田っちもそうなんだけどいつまで高校生役やるんだと。
どう見ても高校生には見えないっつーの。

どういうお話かというと、石川県(本谷さんの出身地でもある)のとある村でひっそり暮らしていた家族がありました。
父親は頑固者で先妻は出ていったため兄は後妻の連れ子でした。
先妻とのあいだの長女は顔もスタイルも器量が良いのをいいことに女優になるという夢を抱いています。
その妹は喘息もちで姉ほどの器量ではなかったけれどその分聡明で現実を見据えています。なにより絵を描くのが得意でした。

ある日、両親が事故で亡くなってしまいます。
4年前に出て行った姉の澄伽(サトエリ)が帰ってきました。
そこには妹の清深、兄の宍道(永瀬正敏)と兄嫁の待子(永作博美)が暮らしています。
女優の姉が帰ってくると喜ぶ待子とは裏腹に兄と妹は鬱蒼とした気持ちを抱えます。

なぜなら姉が出て行ったきっかけとなったのは妹が描いた姉の行動を描いた漫画だったからです。
女優になるため上京するという澄伽を父が才能がないからやめろと反対したため逆上し止めに入った兄をナイフで傷つけることになってしまったり、上京資金を稼ぐため同級生とただならぬ関係になってしまったりといった一部始終を漫画にしてしまい、ホラー漫画雑誌の賞を取ってしまいます。

狭い村ではあっという間にうわさが広がり、澄伽は引きこもってしまいます。
それを慰めたのが兄の宍道でした。
宍道と澄伽は血のつながりがないのをいいことにとうとう関係を持ってしまうことに。

兄に愛されてると自信を得た澄伽は改めて女優になると決意して出て行きました。
現実は厳しく出演作品はセリフもない殺される役のみでした。
オーディションには落ち、所属事務所をクビになり、借金は膨らみます。(借金のくだりは映画のオリジナル)
それを妹のせいだと清深を責め立て虐待まがいのことをたびたび行っていました。
待子は兄にDVまがいの行いをされて入院中。(これは映画の設定。原作ではなぜかエジプトに一人新婚旅行に行かされる。)その兄もただ静観するしかありません。

暇な田舎に帰ってきた澄伽はある映画監督に惚れ込み文通を行っていましたが、ある日の返事に澄伽を主演で映画を撮りたいという内容で送られてきました。

喜ぶ澄伽。妹を許し、兄嫁待子も退院して帰ってきます。

兄と待子は見合いでした。(原作では結婚相談所)
一見DVのような関係でしたが、実はそれは澄伽との関係性を保つための見せかけ上のことでした。
コインロッカーベイビーズの待子は施設で育ち、不幸なことには慣れっこでした。
そのためとぼけた朗らかさを身につけた今、兄と姉妹のはざまにたち刺激を受け、兄に立ち向かうことになります。

見事一戦を勝ち取った待子。
それを感じ取った澄伽。今度は兄が罪の意識に苛まれおかしくなってついに自殺してしまいます。(原作では病死)

その間ただおとなしく黙っていただけの清深ではありませんでした。
姉が帰ってきてからの一部始終も漫画にしていたのです。
それを投稿し再び賞を取って上京することになりました。

姉と妹が再び対峙します。

一枚も2枚も上手だったのが清深です。
4年前の事件を踏まえて用意していたのは刺されても死なないおもちゃのナイフでした。
しかもアルバイト先は郵便局。

姉の文通相手は映画監督ではなく妹のなりすましだったのです。

(こっから先は映画オリジナル)バスで駅へ向かう清深を追う澄伽。
田んぼで取っ組み合いの喧嘩をします。
結局姉妹でバスに乗り込み、疲れ果てた澄伽は寝てしまいます。
その様子をスケッチする清深。

おわり。

とまあ、文字にするとすんごいですけど。
映画で見たらところどころコメディっぽくて笑えました。

姉の女優としての才能がないっていうシーンが何回かあるんですけど、まあサトエリうまいよねw
当たり前なんだけど妹とのやり取りのそっちのが感情むき出しで、そのままで演じてたら女優になれたかもなのに~って見てました。
けどなんで女優だったのか。グラビアアイドルくらいならなれたんじゃないのか。それはプライドが許さなかったのか。

2007年の作品ですが、欝々とした中にも面白さがあるので興味がある方はぜひ。

原作との違いなど

DVD見た後図書館行って再びじっくり読んできました。
本谷さんの文体はすごく読みやすくて異類婚姻譚もそうでしたけど、集中したら1時間半くらいで読めちゃいます。

夏休みの土曜日ということでちょっとうるさかったので直太朗を聴きながら読んでましたw

で、原作はというと実は姉の方でなくて妹の方が主人公っぽいんですよね。
映画ではソフトに描かれてましたけど、実際妹の方が黒いっていうか。病んでるというか。

姉にはなった言葉。

なんでそんなにおもしろいの。オモシロいんだから私の前に帰ってきちゃダメ。

妹は両親の亡くなった事故の目撃者でもあり、その事故に猫が絡んでるんですけどその飼い主に執拗に嫌がらせ電話をするシーンがあったりします。
凄惨な事故だったんですけど、普通だったらトラウマになって落ち込んじゃうと思いますが、平気でホラー漫画に取り入れたりもしてましたね。

あ、このホラー漫画映画では呪みちるさんという方が絵を描いてたみたいです。
結構好きな絵だったんで作品をぜひ読んでみたいw

一方、姉の方は、まあ自己愛が強すぎるっていうのか自意識過剰すぎるというか、そこがなければ現実にはこっちの方が大半だと思うんだけど、対照的だったのが両親の事故現場に通りかかってしまったシーン。死というものと向き合って恐怖するんですよね。

自分は田舎の閉塞的な環境ってどんなのか知らないので幸せな部類なのかもしれないけど、やりたいことが特にないっていう意味では不幸せだったりするのかな。

ちょっとだけ救いのあった映画と違って原作のラストは待子と二人きりになってしまった澄伽は待子のすすめによりエジプト土産でもある呪の人形を打ち付けて終わるっていう。
待子的にはどうなんだろう。次は待子が妹の立場になって姉の行動見守るのか。

この行動によって発散されて澄伽も変わっていけたらいいな。
女優には向いてないけど文通の文章力?妄想力?を生かしてそれこそ脚本家になるとか。

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